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遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)

遺言がない場合、どの遺産を誰が相続するのかについて、相続人(相続を受ける人)同士が話し合うことになります。この話し合いを遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)といいます。まずは、相続の対象となる財産を明らかにすることから始めます。話し合いで相続人全員が納得すれば、財産をどのように分割してもかまいません。話し合いがついたら遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)を作成します。

遺産分割の話し合いをする際のポイント

1)相続税の納税資金をどうするか
2)借金をどう処理するか
3)事業や農業をしている場合の後継問題をどうするか
4)相続税を軽減できる工夫はないか
5)残された相続人それぞれが、安心して生活できる資金を確保できているか
6)高齢の配偶者などへの配慮が十分か
7)二次相続がある場合、それをどう考えるか
以上のように、あらゆる角度から検討していく必要があります。判断に悩むときには、税金や法律の専門家にアドバイザーとして入ってもらってもよいでしょう。

相続人全員の参加・合意が必要

1)遺産分割協議は相続人全員の参加が必要です。どうしても日時の都合がつかないときには、電話などによる協議でも大丈夫です。そして、遺産分割協議の成立には全員の合意が必要です。多数決で決めたものは無効となりますので、注意してください。

2)被相続人(財産を残す人)から生前贈与や遺贈を受けていた場合や、被相続人(財産を残す人)に対し、労務の提供、資金援助、療養看護などをして遺産の維持増加に貢献していた場合は、全員が納得するのであれば、その点も考慮すべきでしょう。

協議が1回で決着するのは稀(まれ)

遺産分割でそれぞれの主張が衝突すると、お互いに感情的になり、まとめるのはかなり大変です。でも、どんな家族でも多少の波風が立つのは当然と考えれば気が楽になります。1回の協議でまとめようとせず、いったん冷静になって考える時間を持つのも良い方法です。

遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)にまとめる

1)遺産分割協議で参加者全員が合意に達したときは、その証拠として「遺産分割協議書」を作成します。これは、必ず作成しなければならないものではありませんが、後日、紛争になった場合の証拠資料として役立つので作成しておくことをお勧めします。また、不動産登記や株式・預貯金などの名義変更、解約手続をする場合は、この遺産分割協議書が添付書類として必要になります。

2)遺産分割協議書には、参加者全員が署名・押印します(氏名をパソコンで書き、押印する方法でもよい)。印鑑は実印を用いるようにしてください。また、不動産の所有権移転登記などをする際は、協議書に各人の印鑑証明書を添付します。

原則として一度作成したらやり直しができない

一度作成した遺産分割協議書は、原則としてやり直しができません。相続人の間で納得するまでよく話し合うことが大切です。ただし例外として、相続人の一部を抜かして協議した場合や、相続人でない者を加えた分割は無効になります。また、重要な遺産がもれていた場合は、錯誤(さくご)による分割協議として無効を主張できることもあります。

協議がまとまらないときは家庭裁判所へ

「相続人全員の意見がどうしてもまとまらない!」ということもあるでしょう。しかし、いつまでもこうした状態を続けていると、相続税の申告、納付期限に間に合わなくなってしまい、相続税を軽減できる各種の特典を受けられなくなってなってしまうなどの不都合が出てきます。このように、協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に間に入ってもらい、調停や審判によって遺産を分割する方法もあります。その際、弁護士に依頼すれば、調停に同席し、法的主張や手続の進行や遺産分割後の執行手続を行なってくれるので安心です。