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寄与分

相続人(相続を受ける人)のなかに、被相続人(財産を残す人)に代わって家業を助けてきた人、自分のお金を使って相続人の財産が減るのを防いだ人、被相続人の看病をしてきた人がいたとします。このような人が、ほかの相続人と同様に法定相続に従って機械的に相続分が決められたとしたら、不公平になってしまいます。

そこで法律では、このように被相続人の財産を維持したり、財産を増やすことに特別の貢献をした人に対して、本来の相続分を超える財産を受け取ることを認めています。この本来の相続分を超えて加算される部分を寄与分(きよぶん)といいます。そして貢献をした人のことを寄与者(きよしゃ)といいます。

寄与にあたるケース

●病気やケガのときに看病をした
●事業を無償で手伝った
●被相続人の失業中に生活費を支援した
●老後の介護をした
●借金の肩代わりをした

※いずれも無償で行った。または、相当の対価や弁済を受けていないこと
※貢献をした人が相続人であること。相続人以外の人(例:家業を無償で手伝った娘婿、献身的に介護した長男の嫁など)には、寄与分は認められない
※親族としての当然な程度の療養看護は含まれない

寄与分は相続人(財産を受ける人)同士の話し合いで決める

寄与をした人がいる場合、その貢献度をどのように評価するかは相続人同士の話し合いによって決めることになっています。金額には上限があり、全相続財産から遺贈(いぞう)の分を引いた額を超えることはできません。さらに相続人の遺留分(いりゅうぶん)を侵害することがないよう配慮が必要です。

もしも話し合いがまとまらなければ、寄与者が家庭裁判所に調停を申し立てて解決を図ることになります。調停でも決まらなければ、審判によって決定されます。裁判所は、寄与の時期、方法や程度、相続財産の額、その他一切の事情を考慮して、寄与分を定めます。

寄与分があるときの計算方法

寄与分は遺産分割の対象となる相続分には入らないため、相続財産のなかから寄与分を別枠にして、残った財産を分割します。

寄与がある場合の法定相続分の計算例

例えば、相続財産3000万円、長男の寄与分を400万円とした場合、寄与分を差し引いた相続財産は2600万円となり、この金額をそれぞれの相続分で分けることになります。

●配偶者 2600万円 × 1/2 = 1300万円
●長男 2600万円 × 1/2 × 1/2 + 400万円(寄与分) = 1050万円
●二男 2600万円 × 1/2 × 1/2 = 650万円   

寄与分が認められるかについて争われた裁判例

寄与分が認められた例…

1)46年間にわたり家業である農業に従事して農地の取得、維持に貢献した妻と27年間にわたり報酬を受けることなく家業に従事した長男に対し →寄与分として妻に30%、長男に10%を認めた(1977年福岡高裁)
2)重い老人性痴呆の被相続人を10年間にわたり介護してきた相続人に対し →1213万円の寄与分を認めた(1986年盛岡家裁)



寄与分が認められなかった例…

約7年間家業である農業に従事してきたが、その間に被相続人の財産の増加は認められず、被相続人からの生前贈与により財産が増加している相続人に対し →法定相続分以上の寄与分は認められない(1974年仙台家裁)